穏やかに髪を揺らす、風。
降り注ぐ柔らかな、陽。
温かさを伝えて来る、地。
そして。
それらを総て内包する、声。
「……………レット…?」
重い瞼を無理に開け、微かに呼ぶ。
そんな小さな呟きにも、敏感に反応した彼女は、視線を合わせて微笑んだ。
「…すみません。起こしてしまったみたいですね」
「……歌を歌ってた?」
半ば夢見心地での問いに、ゆっくりと頷く。
ほんの少し、頬を染めて。
「…はい」
「………うん…」
どうりで、こんなにも心地良い。
「まだ、眠っていてもいいですよ」
「うん…」
満たされていく想いで瞳を閉じ、微睡みながら、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「でも…もっと歌ってて…」
柔らかに、穏やかに、緩やかに。
温かく、澄んだ優しい声が。
何時まででも、聴こえる…
やっぱりこの話はシュミですね。
昼寝も、歌を歌ったり踊ったり髪を触ったり…そんなネタが大好きです。
この小さな小さな話は。
このサイトにおける原点。そして、私が目指すもの。
ハヤクラも、そして他の組み合わせも。
こんな話が書けたなら。
あったかくって、穏やかで。
のんびりしていて、心地好くて。
そして少しでも優しく感じられたなら。
このサイトの意味も、私が書く意味も。
何時か、見つけることが出来るでしょうか。
20030603UP
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